円の囚人

ウォッチ・ダッシュボード

日本はどの道にいるのか

本書は、日本が三つの目標、すなわち安い調達、守られた円、正常化した金利のうち二つしか保てないと論じる。そしてどれを諦めるかという選択は、わずかな数の指標に読み取れる。ここに掲げるのが、その指標である。

円の囚人 装丁
指標そのものは市場と公的統計による。それをどう読むかの枠組みが『円の囚人』である。

ペーパーバック、発売中。『円の囚人』(日本語版)、Prisoners of the Yen(英語版)。米国Amazonからは日本語版・英語版。

マトリクスで判定する指標

ドル円 4週間の変化率

—%

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ドル円

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日銀政策金利

1.25%

1995年以来の高さ・2026年9月18日に引き上げ(7対2)、9月24日適用・次回会合は10月29日から30日

日本のコアCPI(前年比)

1.7%

2026年8月・2%目標を下回る月が8か月連続・生鮮食品とエネルギーを除く指標は1.9%近辺・日銀の展望レポートは2026年度後半以降、2%をはっきりと上回るとみる

10年物日本国債利回り

-%

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国債 10年-30年スプレッド

—pt

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米国債 10年-30年スプレッド

—pt

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日経平均 60日高値からの下落率

—%

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文脈 本書が論じるが、判定には用いない

日経平均株価

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金(COMEX、1オンスあたりドル)

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金 円建て(1オンス)

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ビットコイン(ドル)

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FRBと日銀の政策金利差

2.625%ポイント

FRBの3.75–4.00%に対し日銀は1.25%・円を押し下げている金利差

日本の総債務

205% GDP

IMF2026年推計・純債務はおよそ134%・インフレが名目GDPを押し上げ、2020年のピークである同一推計の約229%から低下

市場系列は日次の終値であり、15分ごとに更新している。政策金利と物価の計数は、各公表のあとに手で更新している。

相場を読む

シナリオ・マップ

各行が指標であり、各列がその指標の指し示す道である。なによりも二つを追うこと。円の変化率と、実質政策金利、すなわち政策金利からコアCPIを差し引いた値である。円の水準ではない。水準は信認と清算とを区別できない。どちらも円高として現れるからである。財政の姿勢が、その組み合わせをA、B、Cのどれに変えるかの振り子になる。

指標 ケースA・財政再建 ケースB・減価 ケースC・財政従属
ドル円 4週間の変化率(両側)いずれの方向にも2%未満。政策の信認によって水準が保たれているいずれの方向であれ2〜10%の持続的な動きいずれの方向であれ10%以上。円安は介入と米国債売却を強い、円高はキャリー取引の巻き戻しを強いる
ドル円 介入後堅調、かつ静か。ポジションの手仕舞いではなく規律によって得られた円高金利差を映してじりじりと円安金利ではなく介入で防衛。FIMAへの依存、資本移動の規制が現れる
日銀の利上げ経路と消費者物価利上げがインフレに追随あるいは先行利上げが持続的にインフレに遅れる目標超えの物価にもかかわらず利上げが停止あるいは反転
10年国債利回りとターム・プレミアム信認の回復により圧縮高いが秩序は保たれる無秩序な急騰、あるいは新たな利回り上限や買入れ指針
超長期国債の需要 10年-30年スプレッド過去10年の中央値0.77ポイント以下軟調だが機能している1.37ポイント以上。過去10年の95パーセンタイルを超え、超長期債が見放されつつある
米国債のデュレーション 10年-30年スプレッド過去10年の中央値0.44ポイント以下日本ではなく米国の財政事情を映して推移0.75ポイント以上。価格に頓着しない強制的な売りにより超長期債が劣後
財政の姿勢基礎的財政収支目標が復活、補正予算が縮小補正予算は大きいまま、債務比率の指標を維持支出は維持され、かつ日銀がそれを賄わされる
日銀と政府の関係独立かつ協調的静かに協調的公然たる摩擦、独立性への圧力
実質賃金と消費者物価正。圧力が緩む負。圧迫が続く大きく負。政治的な強制事象になる

生値をシナリオ表に照らしている……

現在の読み 2026年9月24日。ケースB、変わらず。FRBは16日に25ベーシスポイント引き上げ、日本銀行も18日に7対2で1.25%へ引き上げた。適用は24日からである。双方が動いたため、政策金利差はサイクルの始点と同じ2.625ポイントに戻った。コアCPIは1.7%で、実質政策金利は−0.45%。日銀自身の見通しでは物価上昇率は2%をはっきりと上回っていく。利上げを続けてもなお後手にある。実質賃金は7月に前年比2.4%増で、1月から増加が続いており、この指標はBからAへ移る。ただし一つの指標で全体の判断は動かない。新しい金利が適用された最初の東京の取引は、利上げとは逆の方向に動いた。10年国債利回りは一時3.055%と約30年ぶりの水準に上がり、国債先物には大阪取引所のサーキット・ブレーカーが発動した。円は158円70銭前後で推移した。財務省の残存期間一定の10年金利は3.073%で引け、1日で3.1%上昇したが、5%の目安には届いていない。圧力の多くは米国から来ており、米国債10年利回りは5.1%を超えている。円は4週間で0.4%の円高で、9月8日に152円90銭をつけたあと、落ち着いた範囲に戻っている。日経平均株価の終値は6万5514円で、18日を495円上回った。円キャリートレードの巻き戻しに伴う急激な円高は起きていない。財政は拡張的なままで、令和9年度の概算要求では国債費が17%増えている。ケースCへ読みを動かす兆候は、いまも円安ではない。利回り上限や買入れ指針の再導入、あるいは4週間で10%を超える円の変動である。日本銀行の次の決定は10月30日である。
この読みは変わる。ダッシュボードが示すのは、いまの日本の位置である。何がどう動いたのか、なぜ動いたのか、そして次に動くには何が必要かは、ニュースレターで書く。毎月、そして日本銀行の決定から七日後に。日本語と英語で。