ウォッチ・ダッシュボード
本書は、日本が三つの目標、すなわち安い調達、守られた円、正常化した金利のうち二つしか保てないと論じる。そしてどれを諦めるかという選択は、わずかな数の指標に読み取れる。ここに掲げるのが、その指標である。
ドル円
-
10年物日本国債利回り
-%
日銀政策金利
1.00%
コアCPI(前年比)
1.8%
日経平均株価
-
金(COMEX、1オンスあたりドル)
-
FRBと日銀の政策金利差
2.63%ポイント
日本の総債務
205% GDP
市場系列は日次の終値であり、15分ごとに更新している。政策金利と物価の計数は、各公表のあとに手で更新している。
相場を読む
各行が指標であり、各列がその指標の指し示す道である。なによりも円の水準と、インフレに対する日銀の利上げ経路を追うこと。財政の姿勢が、その組み合わせをA、B、Cのどれに変えるかの振り子になる。
| 指標 | ケースA・財政再建 | ケースB・減価 | ケースC・財政従属 |
|---|---|---|---|
| ドル円 介入後 | 信頼できる規律により安定あるいは上昇 | じりじりと弱含み、1ドル170円台へ | 金利ではなく介入で防衛。資本移動の規制が現れる |
| 日銀の利上げ経路と消費者物価 | 利上げがインフレに追随あるいは先行 | 利上げが持続的にインフレに遅れる | 目標超えの物価にもかかわらず利上げが停止あるいは反転 |
| 10年国債利回りとターム・プレミアム | 信認の回復により圧縮 | 高いが秩序は保たれる | 無秩序な急騰、あるいは新たな利回り上限や買入れ指針 |
| 財政の姿勢 | 基礎的財政収支目標が復活、補正予算が縮小 | 補正予算は大きいまま、債務比率の指標を維持 | 支出は維持され、かつ日銀がそれを賄わされる |
| 日銀と政府の関係 | 独立かつ協調的 | 静かに協調的 | 公然たる摩擦、独立性への圧力 |
| 外貨準備と介入の頻度 | 介入が止まる | 定期的で、効果の逓減する介入 | 大規模で持続的、FIMAへの依存を伴う |
| 超長期国債の需要 | 健全 | 軟調だが機能している | 買い手のストライキ、札割れ |
| 実質賃金と消費者物価 | 正。圧力が緩む | 負。圧迫が続く | 大きく負。政治的な強制事象になる |
生値をシナリオ表に照らしている……
現在の読み ケースB、破られていない。日銀は1%まで利上げして止まった。コアCPIは目標をわずかに下回って推移し、円は159.75円の近辺にある。7月30日から8月26日にかけて、日本が記録したなかで最大となる15.4兆円、およそ965億ドルの円買い介入が行われ、財務省が8月28日にその総額を公表した。それでも相場は数週間のうちに戻した。財政は拡張的なまま、アンカーを欠いている。支出は維持され、利上げは慎重で、通貨が歪みを吸収する。この組み合わせは、基本シナリオが本書の想定どおりに働いている姿である。読みをケースCへ動かす兆候は、円のさらなる下落ではない。国債市場において利回り上限あるいは買入れ指針が再び課されることである。